「目指すはトリノ!」、、という(違うのかな?)具合に、選手に激を飛ばす荒井ヘッドコーチと参加者の面々。

手前の4人は、左から荒井コーチ、西村さん(赤いユニフォーム)、小林コーチ(青いジャージ)、小林深雪さん(白いジャージ)。
後ろの4人は、左から湯本コーチ、新田さん、三澤さん(西村さんの後ろ)、写真が小さくて見えませんが出來島さん(小林コーチと小林深雪さんの間)、太田さん(小林深雪さんの右後ろ)。

太田さんと小林コーチ。板を脱いで、「踏み込み」、、重心の移動の方法についてレクチャーを受けているところです。この直後、太田さんの片足が前に踏み出します。前傾姿勢の始まりのショットです。怒られてうなだれているわけではありません^^);

ポールを持たずに滑らせる練習です。右が小林深雪さん(視覚障害)、左が出來島さん(通称「デッキー」ちゃん)。

出來島さんは片腕障害です。視覚障害の小林さんもそうですが、とても障害を持っているとは思えないほど安定した滑りです。

自分が目をつぶってこれだけの走りをしろ、と言われても出来ません。これでも本人いわく、「板にまだ乗れていない」、、。
因みに、小林コーチは顔にヘッドセットのマイクを装着し、その声は腰につけたウエストバッグ型のスピーカーから流れます。深雪さんはその声を聞きながら練習をしたり試合をしています。

太田さんも片腕障害です。今回の10日間という合宿日数は彼女にとってこれまでで一番長い日数だそうです。体力やペースに気を配る小林コーチ。


雪が潤沢とはいえ、春の日差しは雪を緩くします。そこで雪温が低く、コースが締まっている午前はスケーティング、雪が緩む午後はコースカッターでトレールをつけてクラシカルの練習をします。
写真はクラシカルですが、彼女のスケーティングの一歩はMIZUHIのそれより滑走距離が長く、キックも鋭いです。

小林深雪さんのポールを使ってのダイアゴナル滑走。デジカメなのでシャッタータイミングが合わなくてマキシマムが映っていないのが残念。

出來島さんのダイアゴナル。スケーティングもそうですが、ポールは一本しか使い(え)ません。

メダリストとして新聞等を賑わせた新田さんの滑り。(上・下)
これもシャッタータイミングが合っていませんが力強いフォームです。

一般参加の三澤さん。XCSKIを履いたのは今回のキャンプで2回目だそうです。いつも笑顔でキャンプのムードメーカーでもあります。

  • 2003年4月26日から30日にかけて、日本障害者クロスカントリースキー協会のスプリングキャンプに参加してきました。全日程は5月5日まででしたが、そのときの模様と、私が参加して感じた事柄などを書いてみようと思います。
  • 宿泊先は、妙高高原の池廼家 、練習場所は、笹ヶ峰牧場に設けられたコースです。

  • 因みに、4月26日から28日まではこのホームページでも紹介したことのある、ロシニョールのキャンプが、そして28日から30日までは同じく紹介したことがある横山久雄スキーランニングセミナーがあり、それぞれの参加者や春の合宿で練習に来ていた学生さん達と同じコースを共有しながらのキャンプとなりました。

  • 私が参加していた期間、ご一緒だった主なメンバーは、コーチ陣では荒井さん、小林さん、湯本さん。選手では新田さん、西村さん(以上男性)、小林深雪さん、出来島桃子さん、太田渉子さん、平沢智緒理さん、ガイドでは平沢敏夫さん、久保田サチコさん。私同様一般参加では私のほかに三澤さん(女性)でした。

  • 天候は、30日に雨に降られた以外は快晴で、昨年と比べると潤沢な降雪量にも恵まれ、この時期としては驚くほど良いコンディションの中で練習をすることが出来ました。(5月1日以降は参加していないのでわかりません。)

  • 練習メニューは、選手は各々今シーズンを振り返って生まれた課題の消化と、「板にスムースに乗り込む」等といった、ベーシックな部分での慣化が中心です。

  • コーチ、ガイドの方々は、そのサポートやアドバイスを行います。それ以外の参加者は基本的に自由練習ですが、MIZUHIは練習の模様をビデオに収めるお手伝いをしました。夜のミーティングではこれを再生しながら、荒井コーチや横山先生から各選手にアドバイスがなされました。

  • また、ロシニョールキャンプのコーチ陣であり、オリンピック出場経験もある横山先生のお嬢様方お二人もコースでの指導にあたってくださいました。


  • 選手はそれぞれ何らかの障害を持っていますが、日本を代表するメンバーだけに、スキー技術の基本的なレベルは大変高度です。それに加えて、上達への闘志、意欲、執念は私が学生時代に選手だった頃からこれまで出会った沢山の選手と呼ばれる人たちと比べても、ずば抜けて強い意志を感じました。

  • こうした優れた資質とモチベーションを持った選手を指導するコーチやガイドの方たちも、当然のことながら、それに負けないくらい、熱心、かつ厳しいものでした。

  • 黙々と続けられる、端から観ると単調ともいえそうな基礎練習が、向上心の強い選手と、これを受け止め、更に高みへ引き上げようとするコーチやガイドの方たちとの間で、肌に痛みとして感じられるほどの緊張感を維持しながら、午前、午後各々2時間強、続けられました。

  • これほど密度の高い練習風景に関わるのは本当に久々でしたが、コーチやガイドの方々は、各々の選手の体力や体調を十分把握しているので、10日間という長丁場を勘案して、効果的な休養をとらせることも忘れません。また、時には、バテていると判っていても、反復練習が必要なときや精神面での強さが必要なときには緊張を解くことなく練習を続けさせていました。

  • 選手も全く弱音を吐くことなく、時には嬉々として鼻歌まじりでコーチ陣についてゆきます。檄を飛ばすコーチ陣の言葉も、厳しい中にも笑えるフレーズがあったりします。練習は厳しいけれど明るさは決して失われない。お互いの信頼関係が成立しなければ決して実現しない練習光景です。

  • 夜は毎晩ミーティングがあり、スケジュールや体調の確認、技術指導などが熱心に行われました。

  • こうして5日間、選手やコーチ陣の方たちと一緒に過ごして感じたことは、一つは選手一人一人が皆底抜けに明るい、人懐っこい性格であること、そしてもう一つは選手とコーチ陣との揺ぎ無い信頼関係です。笑顔と笑い声が絶えないからこそ、厳しい練習も続くのだろうと思いました。

  • 日本障害者クロスカントリースキー協会との関わりは、数年前、務めていた会社が特例子会社という、障害者を採用する子会社を設立することになり、そのプロジェクトに関わったときに、自分の周囲に障害を持った方が居なかったので、そうした方たちを理解しようと思い、横山先生に相談し、この協会を紹介していただいたのがきっかけです。以来、主に協会のホームページ(協会の紹介や活動レポートの掲載等)を中心にボランティアとしてお手伝いして来ましたが、ある時期から実際に選手の方たちと触れ合わなければ理解できないこともあるのではないかと思うようになり、今年の1月には旭川に行き、そして今回もキャンプに(日程的には半分だけでしたが)参加してきました。

  • そして、こうして参加したことはやはり有意義で、新聞やテレビなどを通じて知るよりも、もっと多くのことを感じることができたと思いました。

  • 稚拙な文章では伝えることの出来ない大きな感動、選手やコーチ陣の方たちの熱い思い、合宿生活を共有することで判る選手たちの性格や生活、、。一般の方も参加できるこうしたキャンプは、これからも企画されるとのことです。ですから、このページを読んでくださった方たちにも、機会があったら是非同じ体験をして欲しいと思っています。

  • 最後になりましたが、障害者スポーツ、特にクロスカントリースキーを取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。一番の問題は合宿や遠征(パラリンピックなど)などにかかる費用等の金銭的なことですが、それ以外にも、多くの有志の方たちがお持ちになっている時間や能力(例えば通訳(外国語だけでなく手話など)、道具や施設の提供、諸々のお手伝いなどの労働力)の供出が、こうした選手やコーチ陣にとってどれだけの励みになるかを考えずにはいられません。

  • どんな人にとっても自分が持っている時間や能力や労力は貴重なものです。ですから、無闇に協力をお願いできないのは承知しているつもりです。ただ、もし、こうしたキャンプなどの機会があったら、是非、参加してみてください。そして、選手やコーチ陣たちが目指しているものが(手段がクロスカントリースキーであったとしても)我々健常者にとっても、かけがえの無い目標になりうることを理解し、同じ思いを共有する仲間として皆さんの人生の何パーセントかを「力」として貸していただくことが出来たら、と、思います。



  • 最後に、自分自身のことを書きます。

  • 今回のキャンプではメンタル面では上記のようにとても貴重な体験をしました。また、技術面では日程が重なったロシニョールキャンプのメンバーやコーチ陣の方たちの滑りも目の当たりにすることが出来、自分なりの課題を克服するために、今、ここで何をやるべきか、これからのオフシーズンに何をしておくべきかを明確にすることが出来たことは収穫でした。

  • それから、これは「痛感」したことですが、この歳(48歳)になると、頭で理解しており、イメージすることまでは出来ても、体がそれをトレースできない、表現できない、というもどかしさを感じました。上達の早い協会の選手の人たちと一緒に滑っていたので余計にそれを感じました。

  • 「焦ってもしょうがない」という気持ちと、「気力が萎えたらおしまいだ」という気持ちが交錯して複雑でしたが、昨年のロシニョールキャンプの時と同じかそれ以上に選手に触発されて真剣に、密度の濃い練習をしたことは間違いありません。
    う〜む。老骨に鞭を打ってしまった、、^^);
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